面接における質問タイムを切り抜ける方法 | 転職のすべて 連載第6回

転職

自己紹介と志望動機の話が終わったらいよいよ一番恐ろしい質問タイムです。質問タイムを乗り切れなければ面接は成功とは言えないでしょう。ではどのように質問タイムを乗り切ればいいのか、ご紹介したいと思います。

地獄のフリー質問タイム

さて、志望動機を話し終えると職務経歴の内容や志望動機などについてのフリー質問タイムがやってきます。このパートの時間が一番長くなるのが一般的ですが、前述のように想定問答集を作るろうとすると膨大なものになりますし、かと言って全裸で臨んでも返り討ちにあうだけです。ここでは本当にエッセンスの部分だけ、これさえ頭の中に入れておけば大丈夫という手法をご紹介します

フリーの質問に対して答える時、以下の3点を厳守してください。

  • ポジティブな回答をする
  • 論理的で矛盾のない回答をする
  • つき通せない嘘をつかない

ポジティブで論理的(ロジカル)というのはとても大切なことです。そして自分には答えられないこと、わからないことを取り繕わずに「わからない」と言えるのもまた大事なことです。ただし、あまりに全部に「わからない」のみで答えることはできないですし最後の手段であることはおぼえておいてください。

よく回答に詰まる質問として、「10年後にあなたが弊社でやっていたいことを教えてください」といった、抽象的で現実性の無い質問があります。正直、具体的な仕事内容もわからないし10年後にどんなキャリアパスをたどっているかもわからないです。このような質問は実際にどう考えているかよりもどう答えるかを見られていると思ってください。つまり、回答の内容よりも回答の仕方に興味があるということです。

このような時にも事前の準備が非常に役立ちます。例えば、事前準備している時に今後の重点ビジネスとして自分が志望している分野のマーケットリーダーを目指すと言ったことが新聞記事などに書かれていたとします。であれば、「外から見た話なのでポイントを外していたら申し訳ありません。先日某所で御社が今後10年で現在シェア4位の製品をトップシェアまで売上げアップすることが目標という記事を拝見しました。私が志望している部署はまさにその製品を扱う部門と伺っておりますので、そこで自分のこれまでの経験を活かして貢献できるような仕事が出来てると良いのではないかと考えております。」と答えます。

筋の通ったスマートな回答に見えますよね?そしてこの回答は、まさに事前準備をしていなければできない回答です。ポジティブで論理的、資料に裏付けられた理想的なものです。ただし、話題性の高いネタへ振る時は気をつける必要があります。自分が受けている部署と全く関連のなさそうな部署のニュースネタを切り込んでいく際は注意してください。「御社で力を入れていると聞く機械学習の仕事でマーケットリーダーを目指す仕事がしたいです」と答えたとしても、応募しているのが現場のデザイナーで全く関係ないものだったとしたらどうでしょう?「あー、適当に見かけたニュースでアピールしたいだけなんだな」と思われてしまうかもしれません。

冒頭わからないことはわからないと答えた方が良いと話しましたが、ちょっと補足しておきたいと思います。なんでもかんでも「わからない」で済ますことは得策ではありませんが、バレそうな嘘をつくぐらいなら「わからない」と正直に言った方が良いということです。まず、「わからない」の確率を減らすために事前準備をしっかりするのは前提です。その上でどうしてもわからない事が出てきた場合は「わからない」を使いましょう。ただし、できるだけポジティブな回答が求められますのでフォローするか話をちょっと違う方向へ着地させるのが得策です。

「今までした最も大きな失敗と、それをフォローした経験を教えてください」という質問もよくある質問です。多くの方は、「クライアントとの調整ミスをしてしまい、納期に関して誤解を与えました。それをフォローするためにお客様へ真摯に説明し、ご理解をいただけました。」といった感じの回答をしてきます。マニュアルにも書いてあるんでしょうがそのような回答ばかりなのでこちらとしてはうんざりしているのも事実です。ですが、人事から聞けと言われているので聞いているわけです。

面接で、言うほど大きな失敗をしたことがないという人も多いと思います。元々、転職を何回か成功させられるような優秀な人の場合、死ぬほどヤバい失敗というのはそこまで経験がない人も多いかもしれません。その場合、「失敗したことがないのでちょっとわからないですね」と答えるよりも、「うーん、特に大きな失敗をしたことが無いのでわからないのですが、これは失敗をしないように常日頃から細かい進捗確認、コミュニケーションを心がけてきた成果のたまものだと考えております。」と答えた方が印象がいいのは明らかです。常にポジティブでロジカル、嘘のない回答、これを心がけるようにしましょう

こちらからの質問

さて、フリー質問タイムを乗り切ったら、あなたから質問ありますかタイムです。別になかったら無いで評価が下がるわけではないですが、個人的な統計ではいい会社ほど「ほんとに質問無いんですか?何聞いてもらってもいいですよ?」と問いかけてくる気がします(あくまで気がするレベルですが)。基本的にここでは何を聞いてもいいのですが、極端に福利厚生の話ばかりする人は仕事のことなんか二の次なのかな?とか、余計な印象を与えてしまう可能性がありますので気をつけましょう。

求人票に書かれていない内容はどんどん確認した方がいいと思いますが、おすすめの質問は「ボーナス支給の条件」「給与の上がり幅」です。賞与については企業によって試用期間は評価対象外になったり、いきなり満額出たり日割りだったりと様々です。支給状況によって初年度は年収が大幅にダウンする可能性もありますので住宅ローンのボーナス払いをしている人などは要確認です。また、給与の上がり幅も外から見るとわからない部分ですので、高頻度で昇給する代わりに上がり幅が小さかったり、逆に数年に1度大幅に上がるのかなど、企業によって三者三様ですので確認しておくと良いでしょう。

逆に、残業時間とか、有給消化率とか、ブラックな会社が答えづらい質問をしてみるのもいいでしょう。ヤバい会社は面接官の回答の仕方でわかるかもしれません。もちろん、「あ、こいつはそういうの気にするんだな」と思われるので、何が何でもブラック企業でも入りたい人はこういった質問は避けた方が良いでしょう。

面接官の職種による違い

○次で何を見ているみたいな話は企業によって違うのであまり考える必要はないと述べましたが、面接官の職種によって見ているポイントというのは大体固定できますのでご紹介しましょう。

人事担当者

人事担当者は基本的には求職者の人柄、ちゃんと志望動機が書けているか、論理的に喋れるかなどを見ています。裏を返すと、人事担当者は現場の仕事のことなどわかっていない場合が多いのでその点では判断できないのです。そういった理由から人事と現場がセットで出てくる場合が多い印象を受けます。多くの場合人事担当者は司会進行以外の発言はせずに、合否についてもよっぽどのことがなければ口を挟んでくることがありません。そういう意味では特に気にする必要のある相手ではないということになります。

現場担当者(現場上司)

面接の要はこの現場で将来入社したら一緒にはたらく人です。この人達は実際に求職者が入社したら担当する業務を今行っている人で、実際目の前にいるあなたが自分のやっている仕事ができるかどうかという観点で判断します。さらに、あなたと一緒に働けるかどうかという観点でもあなたを判断します。

この人たちに対しては絶対的な正解は存在しません。先程ご紹介した、ポジティブにロジカルに嘘をつかずに乗り切れて、かつ運が良ければ受かるでしょう。逆に、嘘をついて自分を偽って通過した場合に一番きついのがこの人達との面接です。なにせ自分がついた嘘を入社してからも付き続けなければいけないわけですから。

役員

最終面接は執行役員、取締役、本部長、副社長、社長など色々な人が出てくる可能性があります。彼らのスタンスとしては現場や上司が問題ないと言っているのだから通しちゃっていいだろうという考え方が一般的です。ですので、よっぽど狂った人やよっぽどマナーの悪い人以外はあまり落ちる話は聞きません。ただ、これも会社や人によるのですが「あの人はよく最終で落とす」といった噂がある会社も中にはあります。そのあたりも含めて面接に関する情報はあらかじめ転職エージェントに聞くなどして集めておくほうが得策です。

また、このレベルになるとある程度面接する人の予想がつくのもポイントです。上場企業であれば有価証券報告書に役員の経歴が掲載されていますので、準備段階で誰が来るのかを予想して経歴を見ておくのがおすすめです。特段何をするというわけではないですが、その人の趣向、出自などを把握しておくことは悪いことではありません。

このフェイズで社長が出てくるのは一番ハズレのパターンと言えるでしょう。特にIT系の社長はちょっと変わった人が多いので「え!?うそでしょ?」みたいな理由で落としてしまい、なかなか採用が進まないといった声も聞きます。社長の種類によっても変わってきます。学生起業の叩き上げだったり、銀行出身のガチガチだったり、コンサル出身の超ストイック系だったりと千差万別。ここでも準備が物を言いますがここまで来るともう運としか言えません。最終で落ちた場合は単純に会社の社風と合ってなかったと諦めた方が良いでしょう。

ここでも事前の研究は物を言います。社長がどういったタイプなのかを事前に把握しておくと面接がうまく運びますのでチェックしておきましょう。

ここが通らない!必ず特定のフェイズで落ちる人向けのチェックポイント

よくあるパターンですが、「いつも書類選考が通らないんです……」という人や、「毎回1次面接で落ちちゃうんです……」という人がいます。本来こういう人のためにアドバイスをするのが転職エージェントの役割のはずなんですが、彼らは自分の利益になる方向への動きはいいんですがいかんせん求職者の本当にためになることをしてくれない。困ったものです。

書類選考

書類選考で落ちる人ですが、根本的に違う職種へ応募している場合が考えられます。つまり、募集している職種と自分の経験が合っていない場合です。これに関してはどう書類をいじくっても嘘をつかない限り書類選考に通ることは無いので志望を考え直す必要があります。残酷な話ですが未経験の人を中途採用することはかなりレアなのです。

未経験職種へのチャレンジの場合、きちんと志望動機の中にチャレンジであることを書くべきです。書類選考の時点でなぜこの職種に応募しているのかがわからないと通過することはできないと思われます。

完全にマッチしていると分かる場合、例えば受託制作のWebディレクター経験者が同業種を受けている場合などです。この場合は書類の作り方と経歴に問題があると考えられます。以下の点をチェックしてみましょう。

  • 経験年数が少なすぎる(30歳で最低1社3〜5年程度)
  • 最終学歴以降の経歴に空白期間があり、その説明がどこにも書かれていない
  • 複数社の転職経験があり、在籍期間も短い
  • 退職理由がネガティブ
  • 40歳前後でマネージメント経験なし

書類選考で落とす理由は上記のもので9割ほどになります。ですので自分の書類を見直してみましょう。いくつかの理由は自分で修正することができないものもあります。特に、経験者採用の中途採用ではこれまでの経験が重要視されますので経験が浅いことは一番嫌われます。転職回数が多いのは、見られる場合と見られない場合があります。1社の経験が比較的長く、かつ転職理由がポジティブであればIT業界など転職の多い業界なら問題はありません。

経験者ではなくても、ポテンシャル採用ということで異業種へ転職することは不可能ではありません。営業職などは業界の変更はやりやすいですが、専門的な職種や特定領域に特化された職種などはそれが難しいことも覚えておいてください。ポテンシャル採用が可能なのは一般的に20代後半から30代前半が限界となります。それ以上になるとマネージメント経験が求められたり、かなりの実績が求められたりとハードルは急激に上がります。

1次面接

1次面接から先に進めないという方には2方向のチェックポイントをクリアする必要があります。

身だしなみ、見た目、話し方

基本的なことですが見た目の清潔感や話し方は非常に重要な要素です。残酷な話ですが面接では見た目も非常に重要な要素となるため、最大限気を配る必要があります。特に、普段外に出ない職種の方は外部の人と話慣れていないこともあってきちんと対応できない場合があるかもしれません。

洋服はユニクロで構いませんので清潔感があり、身体にフィットしたものを。話し方はとにかくゆっくり、落ち着いて話してください。たまに天才肌の方で立て板に水を流すような話し方をする人もいますが、逆にこっちがついて行けないのでゆっくり話してほしいです。

志望動機

面接の項目でも紹介していますが、志望動機がオンリーワンになっていないというのは1次面接に限らずどのフェイズでも見ているところです。書類選考を通過しているということは書類上の経歴はクリアしているということですので、志望動機を見られて落とされている可能性が高いです。オンリーワンの志望動機、かつポジティブでロジカル、嘘のない受け答えが重要になります

単純に性格が合わないとか、経歴が募集職種と微妙に合ってないといった場合は数を重ねることでどこかにヒットする可能性もあります。しっかり準備をして面接突破確率を上げていけば道は拓けるはずです。

2次面接以降

2次面接以降で落ちる場合は、職歴や志望動機、身だしなみなど基本的な部分はクリアしているものの、何かが原因となって先に進めないと思われますが、原因を特定するのはなかなか難しいところです。チェックポイントとしては、志望動機や会社で働くイメージがきちんとできているか、その会社で働くことでどのような価値を与えられるかがきちんと考えられているかという点を掘り下げられるかはチェックしておいた方が良いでしょう

例えば、志望動機はしっかり話せたとして、「では当社で働く中でこの業界にどのようなインパクトを与えたいですか?」といった抽象的な質問に対応できるかどうかというのも2次面接以降では重要になってきます。業界の知識や業務の知識を試されますので、転職サイトのよくある質問などを見て、臨機応変に答えるのが難しいものは予め答えを用意してシミュレーションしておくことも必要です。

まとめ

さて、ここまで書類作成から面接準備、面接の受け答えなどについて触れてきました。具体的な面接の質問100種類!といった本では想定される質問と回答例をひたすら並べるようなものもありますが、それを覚えるだけで面接が通るかと言われると、運が良ければ通りますが運が悪ければ通りません。

ただ、暗記で面接を乗り切ったとしても入社してから確実に辛い現実が待っていることでしょう。この記事では「ポジティブに、ロジカルに、嘘をつかない」という3点をしつこくお伝えしてきました。これができれば面接も乗り切れますし入社してからの仕事への見方も変わるはずです。転職はもちろん大変なこともたくさんありますが、色々な企業の人と接するチャンスでもあります。

選考に落ちることをネガティブに考えすぎずに冷静に原因を分析して次へ臨み続ければ必ず結果はついてくるはずです。ですが本当に気をつけていただきたいのは、上手くいかないままなんとなく転職活動を続けていても永遠に合格することはないということです。

転職エージェントの言うがままに漫然と書類を出し続けていてもいいことはありません。自分で書類をチェックし、客観的に判断し、面接が苦手な方は家族や友達に練習相手になってもらうなど、努力なくしては通れないのも中途採用です。この本ではあくまで入り口を提示したに過ぎません。しっかりと自分の考えをもち、それを言葉にすることができるようになることがまず第一歩です。

転職の面接に関する連載は今回で終わりですが、述べていることは非常にシンプルなことばかりです。とにかくロジカルに、きちんと相手の話を聞いてきちんと答える。事前準備は一問一答ではなく企業研究を中心に行うことを実践すれば面接突破確率は格段に上がるはずです。

これからも当サイトでは転職関連の記事を充実させていきますのでお楽しみに!

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