フリーランスという働き方を選ぶ前に知っておかなければいけないこと

転職

最近フリーランスを指向する人がとても多くなってきている気がします。一度会社で働いてみて、それが合わなくてフリーランスになるのならまだいいのですが、学生がフリーランスで働こうとしたり、それまで就業経験のない人が突然フリーランスで働こうとしたりといった状況を見たときに、大丈夫かな?と思ってしまうのも事実。フリーランスという働き方を選ぶ前に知って欲しいことをまとめておきたいと思います。

フリーランスで働く上でサラリーマンより面倒なこと

自分はフリーで仕事したことはないですが、周りに多くのフリーランスの方がいます。そんな人たちの様子を見てて思うのは、フリーランスが合うかどうかは人によるということです。特に、税理士などの代理人を使わない限り圧倒的に確定申告などの税務処理や会計処理が必要になります。このあたりがきちんとできない人は向いていないと言えるでしょう。このセクションではサラリーマンと比べて煩雑になることを挙げたいと思います。

税務処理

多くのサラリーマンは会社がやってくれる年末調整で1年の税務処理は済んでしまいます。源泉徴収も住民税も全て人事の人がやってくれるので楽ですよね。

フリーランスの場合、経費処理などもするのであれば青色申告が必要です。要は家計簿的なものをきちんと付けて毎年処理しないと税金を払いすぎてしまうわけですね。この辺マメにできる人が必要です。ちなみに、経費で使った分は正当な用途であれば所得から控除することができますが、何でもかんでも経費にできるって訳ではありません。知り合いのフリーランスの人は何でもかんでも経費計上していたら税務署から指摘されて追徴課税されていました。

また、よくわからないからといって、住民税も滞納して確定申告もしなかった人もいましたが、貯金を差し押さえられてました。バイトばっくれ感覚で税金をばっくれようとする人が結構いますが、あの人たち本気で追っかけてくるので携帯料金とかと一緒にして舐めてたら大変なことになります。

法務処理や毎月の請求処理

フリーランスの人は大体企業から仕事を受注することが多いと思います。会社によってはNDAや業務委託契約の締結などをお願いされることもあるでしょう。会社員なら法務の人にぶん投げてしまえることも自分でやらないといけないわけです。また、経理の人がやっているような毎月の請求書作成なども全部自分でやらないといけません。税金と違ってこれをやらないとお金がもらえないのでとっても大切なことです。

フリーランスの人はこういった普通の会社であればバックオフィスの人がやってくれることも自分でやる必要があります。

国民健康保険

フリーランスの場合健康保険は全額自分で負担する必要があります。そう、意外と知られてないんですが会社員って社会保険は半額会社が出してるんですよ、知ってました?フリーの人は自治体が用意している健康保険である国民健康保険に加入する必要があるのですが、この国民健康保険、なんと自治体によって金額が違うんです。月額数万円規模で違ってくるので、下手したらフリーランスの人は保険料安くするために引っ越してもいいぐらいの差が出てくるんですね。

顧客対応

例えばWeb制作のフローで考えてみましょう。ちょっとした制作会社であれば営業がいて、ディレクターがいて、デザイナーがいてマークアップエンジニアがいて、インフラエンジニアもいるかもしれません。

フリーランスの人は全部1人でやらないといけません。そんなの別のフリーランスの人にお願いすればいいじゃない?と思う人もいるかもしれませんが、果たしてそんなに都合良くできるでしょうか?もしデザインだけを勉強した人がWeb制作をしようとした場合、マークアップもできないしインフラの用意もできません。知識がないのにきちんと外注できるでしょうか?サーバーの用意とか、できますか?学校で習いました?顧客からくるトラブル対応の電話にきちんと対応できますか?今までやったことない仕事を顧客から受注して果たして大丈夫でしょうか?顧客とやりとりをしたことありますか?Web制作を受注するお作法、わかってますか?自分が外注する側だとしたら、かなり不安になってしまいます。

会社組織に所属することのメリットとデメリット

フリーランスとは反対に、会社に所属した場合こういった面倒な作業は全部分業されているので、自分はデザインなど自分の仕事に専念できるのが最大のメリットです。反対にデメリットは、顧客からもらった対価を全部自分のものにできないことです。当たり前ですよね、みんなで仕事を成り立たせているからです。

また、上司とか同僚という面倒な人間関係を維持する必要があるのも会社組織のデメリットであると言えましょう。もちろん、それによって広がる人間関係もありますのでメリットにもなります。この辺は人によるって感じですね。

そう考えると、会社員であることってものすごく守られているのがわかると思います。面倒な手続きや仕事を人に押しつけて自分のやりたい仕事ができると考えると、何でもかんでも全部自分でやらないといけないフリーランスに比べたら収入が少なくても仕方ないですね。

学校で習ったことが全てではない

デザインの専門学校やパソコンの専門学校、パソコン教室などではよく、「○○を覚えて在宅ワークで稼ごう!」みたいな広告を目にします。しかしJava(JavaScriptではないですよ?)ができただけでフリーランスの仕事ができるでしょうか?Illustratorが使えただけでデザインの仕事がフリーでできるでしょうか?

数々の外注のフリーの方と仕事をしてきた経験上、ほぼ無理だと思います。もちろん、最近はランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングのプラットフォームがありますので不可能ではないかもしれません。いやー、簡単よ!って言う人もいるかもしれません。しかし、実際のところ専業として月に数十万円のお金が稼げるようになる人はそこまで多くないと思います。

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それでもWeb業界でフリーになりたい

こんだけ脅したのにフリーランスで働きたいって方に、Web業界的にとっかかるならという意味で必要スキルを考えてみました。

インフラ構築

最低限レンタルサーバーを借りてドメインを設定し、WordPressをインストールできるぐらいの知識は絶対に必要ですが、個人的にはこれでは全然足りないと思います。SSL、DNS等も網羅しつつ、AWSやGCP上である程度スケーラブルなサーバを構築できるのが望ましいでしょう。もちろん、多くのフリーランスのWeb制作業の人はそんなことはできないと思います。しかし、インフラの知識はWeb業をやる上で絶対必要と私は思っています。

デザイン

適当なWordPressテーマに適当な写真を突っ込んでしまえばそれなりのデザインができてしまう昨今、デザインのスキルが高度に要求されることはそこまで多くないのかもしれません。ただ、企業のロゴを作ったりイラストを作ったりするシーンが結構多いのでデザインはある程度できる必要があります。

コーディング

HTMLコーディングはゼロ構築が少ない昨今あまり必要無いのかもしれませんが、ある程度HTMLの言語でできることを理解していて、WordPressテーマのカスタマイズができるぐらいの知識は最低限必要ですね。

さらに、事実上業界標準とも言えるPHP/CSS/JavaScriptはある程度理解している必要があります。どれぐらい?と聞かれると難しいですが、各言語でお客さんの要望をどれだけ実現できるかの判断ができるぐらいは必須です。例えば、お客さんから「この文字ってもっと大きくできないの?」と聞かれたときに、CSSのフォントサイズプロパティをいじればできるな、ってすぐわかって「はい、もちろんです」って瞬間的に言えるぐらいです。もしくは、「僕のパソコンのエクセルファイルに入ってるデータとリアルタイムにWebサイトの表の数値を一緒にできない?」って聞かれたときに、「うーん、不可能ではないですが難しいです。毎日更新したいときに表をCSVにしてダッシュボードからアップロードしてもらうことは可能ですか?」って言えるぐらいにわかってないとダメです。

フレームワークまで自由に使えるようにとは言いませんが、これぐらいできないとWordPressサイトを自由にお客さんのために作ることは難しいのではないかと思います。

ディレクション

上記のスキルが全部揃ってる超人はいないと思いますので、もしフリーで仕事をするなら自分のできないことを人にお願いする必要があります。人にお願いするという行為は、実は自分でやるよりも難しいものなんですよね。自分の思ったものなんて絶対できないですし納期を守らない適当な人に当たってしまうかもしれません。自分の要望をいかにイメージ通りに作ってもらえるかはディレクションスキルにかかっています。

これどこで勉強できるかっていうと、学校で習えることではないので会社で実際に多くの人と仕事をして身につけるものだと思います。なのでフリーランス専業の人ってディレクションが非常に苦手な人が多いんですよね。自分でなんでもできるフルスタックの人ほどディレクション経験がないものです。

雑務を面倒がらない

前述の通り雑務を面倒くさがらないできちんとできる能力も立派なスキルです。これができないと、経費の控除で大損したり、追徴課税されたりとお金の損失に繋がるので大変です。

まとめ

というわけで、フリーランスになりたい人を脅す記事をお届けしました。しかし、ここで書いたことができないのにフリーランスとしてそこそこ成功している人も多いと思います。しかし、Web業界においてこれぐらいのことがわからないと結果的に人に頼むことが増えてしまい収益率が低くなります。

もちろん、高い志を持ってフリーランスを目指すのはとっても大事なことです。ただ、単純にサラリーマンはダメ、フリーランスが時代に合ってると考えるとそれは間違っています。人には向き不向きがあるのでサラリーマンが合ってない人も多いでしょう。そういった人がフリーランスに転向して成功するのはいいことだと思います。ただ、誰でも成功できるわけではないですし、それはサラリーマンでも一緒のことです。

今の仕事が嫌だからといってサラリーマンを辞めてしまう選択肢を考える前に、フリーランスになるにあたり必要なことも考えてみてはどうでしょうか?また学生の人は卒業して即フリーランスという選択肢もないわけではないですが激しくおすすめしないというのはこの記事を読んでもらえばわかると思います。

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