転職エージェントとのお付き合いを完全攻略! | 転職のすべて 連載第3回

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転職エージェントとの付き合い方

ドキュメントの準備ができたら、いよいよ転職エージェントに登録しましょう。この時点で、今まで書いたことが守れていれば100%完璧なものができていなくても構いません。これ以上のカスタマイズは実際に受ける企業が決まってからの話だからです。

転職するときに転職エージェントを使わない人はまずいません。結果的にエージェントを使うにしろ、使わないにしろ、多くの人が転職エージェントに登録するわけです。この回では転職エージェントをどのようにして選ぶのか、エージェントとはそもそも何者なのか、どのように活用したら良いのか、いいように使われないためのエージェントとの付き合い方をご紹介します。

特に転職エージェントのメリットは自分の知らない会社を紹介してくれることです。自分が転職したい会社が何となく決まっている方はその会社に直接応募したら良いのは当たり前の話です。しかし、いくらその業界に通じていたとしても知らない会社があって当たり前。そんな会社を掘り出せるのが転職エージェントのメリットです。転職しようと思ったら、使う気が無くても一度はエージェントに登録してみましょう。

 転職エージェントの選び方

転職エージェントの選び方は、「とりあえずリクルートに登録しておけ」です。なぜなら、リクルートエージェントは日本最大規模を誇る転職エージェントで、案件数はおそらく最も多いと思われます。基本的には一番案件数の多いと思われる大手に登録することで非公開求人のかなりの部分は網羅することができます。

ただし、業界によりますがリクルートは手数料が強気なこともあり意図的に掲載しない企業もあります。そのため業界2番手、3番手であるDODAやJACに登録するのもありでしょう。また、最近ではエンジニア専門エージェントなども出てきています。色物を試してみるのも良いですが、登録し過ぎには注意しましょう。

やってはいけないのは、少しでも成功の確率を上げようと転職エージェントにいくつも登録することです。基本的に企業は複数のエージェントに案件を登録するため、多くのエージェントに登録しても結果的に目にする案件はどこも一緒ということに気付くでしょう。ということは、エージェントに面談に行くだけ無駄ということになります。また、リクルートなどの大手で1社独占ということはありますが、中小1社独占ということはほぼありません。なので、中小の転職エージェントに複数登録するのは本当に無駄なことと言えるでしょう。

リクルートはスタッフも非常に優秀で、採用する側から見ても有象無象の応募者がいる中で、比較的的確にこちらの要望に合った人材を紹介してくれるのはリクルートが多いです。履歴書や職務経歴書も、そこそこ添削されている印象を受けます。

別の会社の場合、全くこちらの募集要項を見ないで紹介してくる案件があったり、本人の希望が全然違うにも関わらず応募させてきたりとなかなか酷いことをする転職エージェントも多くあります。

よくこの書類で応募しようと思ったな!と逆に感心してしまうこともあります。転職エージェントは万能ではありませんし、下手すると自分より転職経験が無い担当者が当たる場合もあります。彼らの意見は大切ですが、あくまで最後は自分で判断することが必要です。転職エージェントはあくまで機会を広げてくれるものと割り切ってお付き合いするのが良いでしょう。

初めてのカウンセリング

さて、転職エージェントのサイトから登録すると、カウンセリングに呼ばれることになります。大抵土日でもやってますし、面接は個室で行われますので人目を気にせず行ってみましょう。向こうから電話をかけてきて長電話というパターンもあります。

多くの場合自分のこれまでの経歴などを自己紹介させられ、志望業界などをヒアリングされた上で案件が紹介できそうならその場で自分で検索させられたり、担当者が印刷した案件の束を持ってきてくれたりします。書類が揃っていればその場で応募させられる場合もありますし、一旦持ち帰って家で検討させてくれることもありますが長くて数日の余裕しかありません。事前に書類を用意しておこうと言ったのはそのためです。

初めてのカウンセリングで大切なのは、自分の不安を解消するとともに自分の転職市場での価値を第三者から聞くことです。これは非常に残酷な話ですが、経験や職種、年齢によっては希望の会社、希望の給与で転職することができない人もいます。最悪の場合転職を諦めなければいけないことも無いわけではありません。ですが、これは自分1人で闇雲に転職活動をしていたら決して知ることのできない情報です。転職エージェントを積極的に使っていかなければいけないのはそういう事情もあるからです。

彼らと付き合う上で、大切なことがひとつあります。「求職者が入社しないとお金にならないこと」これを心に刻んでおいてください。

転職エージェントを上手く使う方法

転職エージェントを悪の組織のように捉えて意固地に使わない人も中にはいます。しかし彼らは前項でも書いている通り決して悪い人たちではありません。言ってみれば彼らもまた、私たちと同じサラリーマンであり、もしかしたら転職を考えている求職者かもしれません。

転職エージェントを上手く使うためには、彼らのやる気をいかに引き出せるかにかかっています。彼らは私たち求職者を人材を募集している会社へ入れることによって、その会社から報酬を得ています。裏を返せばやる気のない人間を相手にしている時間は彼らにとって無駄ですし、入れる見込みのない人間に割く時間も無いというわけです。

いかに自分を魅力的に見せてどこの会社にも入れる人ですよ!とアピールすることが転職エージェントから良い求人を引き出すことにもつながるわけです。私が事前に比較的精度の高いドキュメントを用意した方が良いと書いたのはこのためです。しっかりしたドキュメントを準備できる人は彼らの目にはとても魅力的に映るはずです。さらに、面談時の受け答えを的確に行うことはとても大事なことです。

第一印象は面接でも大事ですし、エージェントとの面談でも非常に重要な要素の一つです。転職エージェントとの面談の時点で軽い面接は始まっていると思ってもいいでしょう。とにかく、彼らが「この人なら紹介してもいいな」「この人は是非紹介したい!」と思える人材であることをアピールしましょう。

ちなみに、転職エージェントからの紹介案件の場合、担当者からの推薦の一言のようなものがドキュメントに添付されてきます。だいたいどんな人でも「明るく受け答えができ、的確で丁寧な仕事をされる印象でした」といった適当なコメントが書いてあるのですが、その通りだったことはほとんどないですしこちらもあまりあてにしてません。

彼らの報酬について少し触れておきます。基本的に転職エージェントは求職者が応募企業に入社すると想定年収の25%〜35%が報酬として転職エージェントに支払われます。年収500万円で転職したら150万円前後が転職エージェントに入るわけですね。1時間面談してちょっと面接をアレンジしただけで150万円稼げるとは、非常に美味しいビジネスに映るかもしれません。

さらに、売り手市場の業界の場合は転職エージェントを企業の足元を見てきまして、標準報酬じゃいい人なんか紹介できないから50%〜100%よこせみたいなことを企業に言ってくる転職エージェントもいます。実際、一部のITエンジニアなどはかなり報酬率を上げないと紹介してもらえない、なんてこともあります。逆に、買い手市場の場合はエージェントも競合して求職者も多くなります。自分が売り手市場にいるのか買い手市場にいるのか、なんてことも転職エージェントでは教えてもらえますのでガンガン質問してみましょう。

こういった報酬体系を理解することは転職エージェントを上手く使う上で非常に大事なことです。一度でも採用面接を突破して内定をもらうと、いかにその会社がいい会社か、すぐに入社を決めないといけないかを力説してくるエージェントが多いのはそのためです。転職エージェントからしてみると、求職者がいかに自分の希望にマッチした会社へ入るかよりも、いかに手間を掛けずに求職者を高報酬な企業へ押し込むかという方向へ欲求が働くのです。逆に、最初に面接を突破しても同時に進めている別の会社の面接結果を待ちましょうなどと言ってくる場合は、その会社の方が報酬率が高いのかもしれません。

一見親身になって相談を聞いてくれるように見えますが、転職エージェントはこういった報酬体系のもとに企業を運営しています。エージェント全員が求職者のことを考えていないとは言いませんが、ビジネスモデル上、求職者を第一に考える必要がないということは重要なことです。

以前私が訪問した転職エージェントでも、ブラックでよく知られた企業のことを、「最近大手から人事部長が来て変わっている」「休みが取りやすくなったと私の紹介者から聞いた」などと持ち上げるコメントで応募させようと必死になっていましたが、後からその会社を辞めてきた人に聞いたところそんなの大嘘だったことがわかりました。

また、別の転職エージェントでは1次面接を通過した後その会社の社長の著書を読んで明日までに感想文を出せと言ってきたのですが、「そんな会社入社してからもめんどくさそうなので辞退します」と伝えたところその会社がいかに良い会社かを延々1時間ぐらい電話で力説されました(ちなみに楽天です)。転職エージェントのビジネスモデルの都合上、企業は全部いい企業、ブラックという噂は払拭された、残業も少なくなってきたと言ってあなたを企業へ押し込むベクトルに力が働くのを決して忘れてはいけません。

転職エージェントを通じた応募企業とのやり取り

転職エージェントとの面談が終わると、運の良い人は大量の求人資料を渡されて検討してください!と言われるでしょう。こうなった人は幸運な方です。中にはご紹介できる求人がありませんと言われてしまう場合もあります。自分の受けたい企業をピックアップして応募してみましょう。たくさん案件をもらった場合で、転職も初めてという方は是非とも第一志望じゃないところから受けてみてください(面接で言っちゃ駄目ですよ)。

新卒の選考と中途の選考は大きく異なりますし練習なしで第一志望に突撃するのは得策ではありません。エントリーする旨を転職エージェントに伝えると、先般提出したドキュメントで応募しちゃおうとするので、必ずその企業向けに作成した書類があることを伝えましょう。あとは結果を待つだけです。

転職エージェントを間に挟むと応募先の企業とのやり取りは非常にやりづらくなります。調整に日数がかかったりレスポンスも遅いので気長に待つしかありません。リクルートの場合はエージェントがお休みのときも代理の方から連絡がきたりと体制はしっかりしてます。こういう面を見ても大手は安心できますね。基本的に中途採用の選考は会社によっては非常に時間がかかることがあります。転職エージェントは選考の催促などもしてくれますのであまりに返事が遅いようなら担当者に聞いてみると良いでしょう。

さて、今回はエージェントをしゃぶり尽くす方法のご紹介でした。次回はいよいよ面接。その準備についてご紹介します!

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