今日は住宅を賃貸するか、あきらめて購入するかの議論について書いてみたいと思います。この記事を読んでいる皆さんは、きっと住宅の購入を考えているわけですよね?結論から言うと、よーく考えた方がいいですよ!
購入する時のメリットとデメリット
さて、まずは購入する時のメリットとデメリットを見てみましょう。一般的に言われている内容ですね。
購入のメリット
- 持ち家を買えるので内装や間取りを自由にできる
- 団信に入れるので生命保険コストを減らせる
- 老後に資産を残せる
購入のデメリット
- 購入時に多額の初期費用がかかる
- 多額のローンを背負ってしまう
- 容易に引っ越せなくなる
- 住宅のメンテナンスコストを負担する必要がある
- 固定資産税がかかる
不動産を購入することの最大のメリットはローンを払い終わってしまえばその家にコストゼロで住み続けられると勘違いされることがよくあります。これは、住宅分譲時にハードルを下げようと不動産業者が多くのことを説明しないからなのですが、実際に住宅にはメンテナンスコストというものがかかります。
メンテナンスコストって何?
例えば、給湯器。給湯器は大型のものだとプロパーのガス屋で買って40万円ぐらい。安いところから買っても15万ぐらいはします。これが15年に1回は壊れます。間違いなくです。もちろん、賃貸住宅の場合は大家さんが負担で交換しているわけですね。
また戸建ての場合は外壁の補修などがかかります。基本的に戸建ての外壁は20年に1度ぐらい塗装のやり直しなどが必要になりますが、小さな家でも作業内容によりますが数十万円から大規模にやると足場を組んで数百万かかったりします。余談ですが、親戚のヘーベルハウスは300万取られたそうです。
マンションならメンテナンスコストはかからない?
マンションならいいじゃん?と思われるかもしれませんが、マンションの場合は住宅ローンの他に、管理費と修繕積立金というものを払わなければいけません。よくマンションの広告に、今家賃を15万円払っている方!今なら4000万のローンを組んで新築マンションが購入できます!と言ったことが書いてありますね。確かにローン支払いはそうなんですが、その他に維持コストがかかるので、実際に月々の住宅コストを考えると、家賃15万なら、住宅ローン返済は10万円程度に抑えた方が良いです。
ちなみに、マンションの場合はさらに理事会というものもあります。一度理事になると場合によりますが2年から3年、毎月1回は土日に理事会に出席して、住民からの苦情対応や設備の補修について決めなければいけません。大規模マンションであればなかなか回ってこないのですが、運悪くあたった場合、ものすごい負担になります。
また、一番の問題は建て替えです。マンションの寿命は50年程度と言われいますので、50年経過すると建て替えが発生する可能性があります。この際、修繕積立金を使うわけですが、建て替えられるほど溜まっているわけがないので追加で各戸から徴収するわけですね。新築分譲マンションの場合支払総額を低く見せるために修繕積立金が必要以上に抑えられていることが往々にしてあります。これは中古のマンションを買う場合にも気をつけることですね。
ローンを完済したらタダで住める?
ローンを完済すれば住宅コストはゼロのように宣伝されていますが、前述のようにメンテナンスコストはかかります。また、新築で買って35年ローンを完済したときは築35年の家になっています。賃貸住宅検索サイトで築35年の物件を見てみましょう。そこそこな使用感ですよね?古い住宅はメンテナンスが必要です。35歳で購入して35年経つと70歳。そこから15年ぐらい住むことを考えると、ある程度のお金がかかることは覚悟しておきましょう。
あまりお金が無いんだけど戸建て購入しても大丈夫?
戸建てとマンションを比べると、月々のコストは同じ条件ならマンションのほうが高くなります。管理費と修繕積立金ですね。なので見た目は戸建ての方がローン額を高くできます。ただし、上でも述べている通り戸建てにはメンテナンスコストが後々かかってきます。これを考えると修繕積立金程度は毎月貯金しておいたほうが良いでしょう。となると、結局マンションと戸建てってそんなに買える金額は変わらなくなりますよね。
特に、中途半端な戸建ては駅から遠い、狭いというデメリットがあります。例えば東京で新築戸建を買おうとすると、八王子のバス便立地で4000万円などと狂った金額になります。都心に通勤するならバスと電車で軽く2時間オーバーですね。反面、市部のバス便賃貸マンションであれば、支払い金額は同じぐらいか下回るぐらいになるかと思います。10~15万円ぐらいでしょうか。通勤時間は半分以下になりますね。そこまでして戸建てに住みたいか?ということはよく考えたほうが良いと思います。
戸建てはローン額を上げられるので高い物件でも買えるように見えますが、後々のコストをちゃんと考えておく必要があります。
賃貸のメリットとデメリット
では、賃貸し続ける場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
賃貸のメリット
- メンテナンスコストはかからない
- 簡単に引っ越せるので家族規模に応じて家を変えられる
賃貸のデメリット
- 家賃を払い続ける必要があり資産にならない
- 家族がいる場合は万一に備えて多めの保険に入らなければいけない
- ペット可物件が少ない
購入と比べて賃貸の最大のメリットはメンテナンスコストがかからない(含まれている)のと、簡単に引っ越せるところです。
簡単に引っ越せるってどういうこと?
もちろん引越し費用はかかりますが、賃貸の場合は家を変えようと思ったら変えるのは購入時よりは容易です。人生で引っ越しを迫られるパターンでよくあるのが、親の介護、子供の学校が合わない、隣人問題などです。特に、結婚して子供ができて家を買った場合、その先の不確定要素として、さらに子供ができたり、子供が私立の学校に通うことになったり、子供が学校でいじめにあって転校しなければいけなくなったりと様々です。
また、結婚して子供ができていない状態で家を買う場合は、子供ができるのか?という問題もあります。せっかく大きな戸建てを頑張って買ったのに子供ができなかったら…という不安もありますね。賃貸住宅に住んでいれば、引っ越しの費用はかかりますが自分の家族構成や人生設計に合わせて住み替えが簡単にできるのです。これは賃貸の最大のメリットと言えるでしょう。
賃貸の大きなデメリットってなんなの?
これはもちろん、延々家賃を払い続ける必要があることです。家賃はある程度相場に連動していきますが確実に支払い金額は人生総額だと購入するよりも高くつくでしょう。老後に家を売って老人ホームに入るなんてことも賃貸で生活しているとできないですね(ただし、そうそう簡単に古い住宅が売却できるわけではありません)。
ただし、狭い3階建て戸建てを購入したりして、果たしてその家が老後の終の棲家にできるのか?ということは考えておかないといけません。足腰も悪くなりますしそんな状態で狭い階段を上り下りしなければいけないと考えると、人生に合わせて賃貸住宅を選ぶのが良いんじゃないでしょうか?
また、もう一つの大きなデメリットとして、保険コストがあります。購入する際に加入する団信は、被保険者が死亡した場合や場合によって癌になった際にローンがチャラ。つまりゼロになるものです。これは生命保険として非常に大きなもので、もしお父さんが死んでしまっても家族が路頭に迷うことはありません。一方賃貸の場合はそんなものはないので、自分である程度まとまって金額の生命保険に加入する必要があります。これはかなりのコストになります。DINKSの場合はまだ良いのですが、専業主婦でお子さん二人と言った家族構成の場合、大黒柱が倒れるとすぐに家計がピンチになる可能性がありますので、貯金を多く用意しておいたり手厚い保険に入ったほうが良いでしょう。
今後の住宅事情ってどうなるの?
日本は現在、不動産価格はかなり高くなっています。都心のマンションはすでにサラリーマンに手の届く範囲を超えていますし、地方都市でも通勤時間が短い駅近マンションや良学区のマンションなどは中古でもかなり値上がりしている状況です。つまり、買うには時期が悪すぎると言えるでしょう。
では、この先中長期でどうなるかという話ですが、都市部のマンションや駅近物件は引き続きそこまで大きく下落することは無いと思いますが、ちょっと郊外のバス物件などはどんどん空き家が増えてくるものと思われます。高齢化の先、高齢者が亡くなって人口が減少してくると、そんな遠くに無理してすまなくてもいいわけですからね。すると、都市部でも不動産価格の下落が起きることは間違いないでしょう。
不動産価格の下落は家賃の減少を招きますから住宅コストはこの先間違いなく安くなっていくと見られます。
簡単な結論
話をシンプルに戻すと、購入することは総費用的なメリットがまず第一。それに付随して資産を持てること、保険的な要素がついてきます。反面、簡単に引っ越せなかったり面倒な理事会、自治会、隣人リスクなどがついてきます。
賃貸は、簡単に引っ越せるので家族構成に合わせて住み替えができる反面、総費用は多くかかりまた保険コストなども乗ってきます。
これらを勘案すると、お金に余裕のある人は賃貸で、あまりお金に余裕はないけど住宅満足度を上げたい、もしくは今は給料が安いけど、将来的に上がっていきそうというなら購入という判断が生まれてくるのではないでしょうか。基本的に取り回しが良いけどお金がかかる賃貸と、ローンさえ組めればあとは低コストでなんとかできる購入という形になります。
私は賃貸マンションに住み続けていて、あるとき中古マンションを購入したのですが、訳あって売却、その後賃貸生活をしています。購入と賃貸の両方を経験していいますが、お金が許すなら絶対賃貸のほうがいいです。
いずれにせよ、住宅業者はあの手この手で購入を勧めてきます。これからも当サイトでは不動産関連の記事を充実させていく予定ですのでお楽しみに!