2013年に発売されて衝撃のエンディングが話題になったThe last of us。Part2をクリアしたのでレビューを書いておこうと思います!途中までネタバレしませんのでご安心ください。(ネタバレ前にお知らせします)
前作のおさらい
人間がゾンビ化してしまう感染症が蔓延した世の中が舞台、娘を亡くした中年男ジョエルと、感染症への免疫があり人類の希望となる少女エリーのボストンからワイオミングのジャクソンまで約5000kmの旅の中で描かれる戦いと人間模様の映画みたいなゲームです。正直、めちゃくちゃおもしろいです。このレビューでは前作のネタバレは含んでいるので、前作未プレイの方はまず購入してやってみてください。間違いなくハマります。
ポイントとしては、いわゆるポストアポカリプスものなのですが、一気に感染症が広がったわけではなく、発生から20年ぐらい経って人間も感染症と共存しつつある時代を描いているため、自然に飲み込まれた都市の景色が非常に美しい!いまからやっても全く遜色のないゲームです。
今作の舞台とクリア時間
今作は前回ジョエルとエリーが流れ着いたワイオミング州のジャクソンにあるコミュニティから始まります。有名なイエローストーン国立公園の近くで、相変わらず景色がめちゃくちゃ綺麗。今回は操作キャラクターがエリーになり、舞台の都市はジャクソンから諸事情により移動したワシントン州シアトル1ヶ所になります。都市は一つとはいえ、かなりフィールドが広いのでそこまで狭い感じはせず、35時間ぐらいで1回目のクリアができました。そこそこのボリュームですね!
ゲームシステムとバトルの感じ
前回と基本的なバトルシステムは変わらず、3人称視点で銃や弓矢を使い、ステルスキル、力押しなどのプレイでゾンビや人間と戦って話を進めていきます。特に今作はNomal難易度だと物資が割と多めで、ステルスプレイオンリーだとあまり気味になるのが新鮮です。前作ではとにかく銃弾が常時不足しておりステルスで戦わざるを得ないシーンがかなりありました。今回は、新たに加わった「回避」操作もあいまって、肉弾戦もかなり楽しめる仕様になっています。また、設置爆弾、クロスボウ等新しい武器が増えていて作戦の幅が広がっています。
流れ的には、ムービー→操作→ムービーと言う感じで、前作と同じように映画に参加しているような楽しみ方ができるゲームになっています。
プレイ中の緊張感がものすごくて死ぬ
このゲーム、前作もそうでしたがゲーム中の緊張感がものすごい。どっからゾンビが来るかわからない状況で中腰で草むらの中を移動している、家の中を探索するというシーンが非常に多いため常に緊張状態を強いられます。肩こりが悪化したため賠償請求したいぐらいです。
でもそれぐらい没頭して終わりどころが全然見つからず気づいたら3時みたいな生活を送ってしまいました。
難易度調整の幅がものすごい
今作、難易度調整の幅がものすごく自由にできるので、比較的アクション初心者でもプレイできると思います。オートエイムにしてもON/OFF以外に強度が選べたりします。さらに、一度クリアすると敵の強さ、味方の強さなどを自由に選べるようになりさら難易度調整の幅が広がります。これはおそらく、多くの人にプレイしてほしいという制作側の意図なのかなーと思いました。
なぜ評価が低いのか
前作はAmazonで4.5ぐらいとかなり高評価ですが、今作はいまのところ3ぐらいと非常に評価が低いです。その原因をネタバレなしで考えてみました。
LGBTの登場人物が多い
今作は性的マイノリティや人種的マイノリティの登場人物が多くなっています。彼らの描写が非常に多いため、不快感を持っている人が多いのだと思われます。ゲームと言えば、マッチョ主人公が弾数無制限かってぐらい銃ぶっ放して金髪美女とキスしてエンディング!みたいな方にはかなり向かない内容になっています。これに関してはかなり言いたいことがあるのですが後にしておきます。
残虐表現がおま国仕様で修正されてるらしい
北米版未プレイなのでわからないのですが、かなりの部分でゾンビの欠損表現、出血表現が日本版では削られているようです。ただ、この修正されていることを知らないで日本版をプレイしたのですが十分残虐です(笑)
もちろん、Resident Evil北米版等ガチのやつもプレイしたことあるのでそのあたりの耐性は十分ありますが、このゲームは緊張感がすごいのであまり気になりませんでした。まぁ残虐にプレイしたい人は北米版を買えばいいと思います。日本語字幕は無いようなのでご注意ください。
ストーリーの問題
ネタバレなしなので言えませんが、ストーリー上の問題で低評価がついているケースも多く見られます。前作死ぬ気でやったのになにこれ!みたいな話ですね。これはネタバレなしだと多く語れないので後にしたいと思います。
主にこの3点で低評価レビューが多くなっています。しかし、個人的には犬を殺さないといけない箇所があるところ以外は満点でした(詳細後述)。The Last of usのストーリーは、常に感情を刺激してくるのが特徴です。
散々苦労してボストンからソルトレークシティまで来たのにお前ら(ファイアフライ)なにそれ!つってナースもろとも全員ぶっ殺したみなさんからすると、ここまで難易度の高いゲームでさんざんゾンビにぶっ殺された挙げ句、エリー殺さないとワクチン作れないとかどんな無能だよ!という「怒り」や「絶望」から殺す必要のない看護師2名まで殺してしまった人の多さたるや、プレイ人口の8割らしいです(笑)
今作でもこの感情を刺激するストーリーは健在で、ひっじょうーに心を揺さぶられます。この感じがいい!えっ、あんた誰!から始まり、話が進むとなるほどー!となることが多く(若干多すぎるけど)、引き込まれてプレイしてしまいます。
というわけで、ネタバレなしはここまでにしますが、めちゃくちゃ面白い映画に参加したみたいな感じは前作と同様。ストーリーで荒いところやまた探索すんの?めんどいんすけど、、みたいなところはありながら、やっぱりThe last of usなんだな!という面白さは健在でした。ただ、次回作期待するかって言われると、正直この世界観をこすり倒したフシがあるので、同じゲームシステムで違う世界を描いてみるってのがいいんじゃないかなと思いました。
というわけでネタバレレビューへ。
そんなわけでこっから下はネタバレレビューへ
LGBTの登場人物が多いのがそんなに問題なのか
別に自分がゲイなわけではないですが、Amazonのレビューを見てると女性同士のラブシーンを見たくないとか、アジア人が多くて違和感があるとか(お前アジア人だろ)、ゲームの本筋と離れた批判が多い。そして、ポリコレ配慮が酷いと言う。お前ポリコレ言いたいだけなんじゃないかと。
まず、アクションゲームの主人公がマッチョ白人である必要は無いし、女性がみんな金髪美人でモデル体型である必要もないと思います。まぁエリーはほっそいのによくあんなバカスカゾンビ殺せるなとは思いますが、アビーのマッチョ感って最高じゃないですか?復讐のために体鍛えてたんだろうけど、ゾンビ殺しの説得力がエグい。
までも要はこれってほぼ映画であって、映画には好き嫌いがあるようにこのゲームも好き嫌いが多くなってしまったんだろうなーとは思います。せっかくなんでまとめてみると
面白いと感じる人
- 洋画全般、洋ドラ好き
- LGBTに抵抗がない。クイア・アイとか大好物な人
- 複雑なストーリーを理解できる人
- 「こうあるべき」って偏見が少ない人。
- 伝統とかどうでもよくて面白けりゃいいと思う人
- ジョエルにあんまり思い入れのない人
面白くないと感じる人
- FPS/TPSのぶっ放す系主人公はマッチョ白人じゃないとだめ
- LGBT無理
- ゲームは単純なストーリーがいい人
- ジョエル殺したやつマジで許さない派
- 愛犬家
ストーリー上の問題点
今作はエリーで3日、アビー(ジョエルが1でラストでぶっ殺した医者の娘)で3日プレイした後に、二人の想いが交錯する様が描かれます。なので、操作キャラクターは比率的にエリー6:アビー4ぐらいになってます。
序盤でアビーがジョエルをボコボコにして殺してしまうので、ジョエル大好きな人、まぁ大体みんな1で死ぬほどジョエル使ってるので好きなんですが、そういう人からすると「え、なんでジョエル殺したやつが生きるために操作しないとだめなん?」ってなるわけですね。これが「1が好きな人は2をプレイしちゃダメ」ってめちゃくちゃなレビューが投稿されてる理由だと思います。
んー、まぁ言いたいことはわかるんだけど、上で書いたとおり「感情を揺さぶるのがThe last of usじゃね?」と僕は思うのでこういう演出、ストーリー、むしろめちゃくちゃいいと思います!そりゃジョエルはボストンからジャクソンくんだりまでエリー連れてきてるわけだけど他人でしょ?アビーは実父殺されてんすよ、しかも全人類救えるかもしれなかった親父を。そりゃ復讐のために体バッキバキに仕上げてくるわ。
「うわー、ジョエル殺したアビーを生きるために操作するのマジしんどいいいいビクンビクン!」って言いながらヨダレ垂らしてプレイするのがThe last of usであって、それで☆1つつけてぶん投げてしまうのはどうなんかなーって思うわけです。
私、あの時殺された犬です
このゲームのほぼ唯一にして最大のクソ要素で責められるべきポイントは犬を殺さないといけないところです。未プレイの方向けに解説しておくと、今作ではシアトルの街にWLFっていう民兵組織みたいなのがいるんですね、そいつらが番犬を連れて巡回しているので、犬を殺さないと先に進めないシーンが結構あるんです。めっちゃかわいいジャーマンシェパード混じりの雑種みたいな子を火炎瓶で焼き殺すときの苦しみと言ったら、Naughty Dogお前ら!ちなみに、色々やってみたんですが、飼い主もろとも火炎瓶で焼き殺すのが一番効率がよさそうです。仕掛け爆弾で爆殺するのもやってみたけど、嗅覚鋭くてなかなかしんどい。スナイパーライフルで犬殺しても飼い主がやってくる。ショットガンで一気に行こうとしてもなかなかうまく行かない。ステルスプレイで殺さなきゃいいじゃんと思う方もいるかもしれませんが(Automatonの記事によると一応可能らしい)、こちとら忙しいし先にさっさと進めたいんですよ。あと、犬殺すと飼い主が犬の名前呼ぶんですよね。あのさぁ、仕様が重いんだよ!というわけで火炎瓶で飼い主と犬両方同時に殺ることを強く推奨します。
そして、このゲームのポイントである、エリーで3日プレイしてから同じ時間軸をアビーでプレイするという点。そう、「あの時殺したエリーが殺した犬がアビー側で出てくる」わけです。はじめてアリスとスタジアムで会ったあの時、あっこいつさっき俺が殺したやつやん…っていう謎の感情、リアル人生では絶対味わえない、映画でも味わえないなんとも言えない感情。アリスたん…って…こんなことして遊んだりして可愛がられてたんだ…もういい、6,500円ドブに捨ててもいいからもうプレイしない!アリスたんとずっとボール遊びしてる!と思った愛犬家の方も多いハズ(僕は30分ぐらいずっとアリスたんとボール遊びしてました)。いやー、こういうところでも感情を揺さぶってくるこのゲーム、もはや罪。感情揺さぶるのはいいけど、犬はやめてくれ。なんかわけわからんメカドッグみたいなクリーチャーにしてくれ、せめて。
ちなみに、この「あの時殺された〇〇です」がたくさんあって、犬以外にもドックでゲームに熱中してて殺されたWLFの人とか、あーこいつさっき殺したわみたいなWLF側の人が大量に出てくるので精神を蝕んできます。最高!
探索めんどくさい…
今作、そのへんにすっころがってる紙切れに手がかりが書いてあって、それ読んだら行き先がわかるみたいなシステムがあるんですが、これのせいで「紙切れ全部拾わないと物資手に入らないやん…」という強迫観念が生まれます。なんかへんにオープンワールドっぽい要素が入っちゃったせいでとにかくすべての場所を探索しないと気がすまない病気になります。
結果、うわまたここ探索すんのか…と建物に入った挙げ句、クソみたいな物資しか手に入らないという事態が発生してストレスが溜まるシーンがちょこちょこありました。結局1周目は割と気軽に深く考えないでプレイしたら作業台半分ぐらい取り残してました。どこにあった…。あと余談ですが作業台で改造しようとしたら突然襲撃イベント始まるのマジでやめてくれ。心臓止まったわ。
ヨンドゥの人たちエグい…
勝手にヨンドゥの人たちと呼んでいたセラファイトのみなさんですが、最初に出てきた時の衝撃が今でも忘れられません。Marvel映画のGuardian of the galaxyという名作に、ヨンドゥ・ウドンタという顔が真っ青で口笛でコントロールする殺人矢を操る人がいるんですが、最初にこの人らと出会うシーンがめちゃくちゃ怖かったです。こいつらマジ強い勝てんのか?と思いながらやってたんですが、思い返せば最初の人らが一番強かった気が。この人らが強いんで心が折れそうになりました(終盤雑魚化していくのでご安心を)。
今作はイマイチ感情移入先がいない
前作ではジョエルという絶対的鬼神を操ることで死ぬほど苦労してイライラ系の小娘を連れて行くというストーリーで、その中で生まれる人間ドラマは比較的感情移入しやすくジョエルの立場からものを見ていればいいので非常にシンプルだった気がします。一方今作では、操作キャラクターが割と入れ替わったり、敵味方両サイドでドラマが進むので、プレイする人を相当選びます。シンプルなストーリーよりは、複雑なストーリー展開が好きな(ついていける)人の方が楽しめます。
アビーはジョエルを序盤でボコボコにしているので、クソ女ポジションから話が始まるため、非常に感情移入はしにくい。もちろんあの時殺された医者の娘です。というネタバラシがあって、なるほど、それならジョエルぶっ殺しても仕方ないな!と気づかせる演出があるわけですが、うーん、自分はあんまジョエルにも誰にも肩入れしないで見てたからそこまで強い不快感はないけど、大半のジョエル好きはアビーを操作することで不快感が増すのでは?と思いました。
そしてエリー。僕はエリーの方が感情移入しにくいんですが、そもそもジョエル殺したやつがいるからってシアトルくんだり(ジャクソンから1300km)まで行く?いや、気持わかるけどもうよくね?と思うし、さらに終わった後にサンタバーバラ(ジャクソンから1600km)まで行く?飛行機ないんだよ?
そもそも、1ではジョエルはソルトレークシティの病院でワクチンが作れるという絶対的かつ不動のゴールがあって、そこを目指して旅をするわけですが、今作はこの動機づけが非常に弱い。フラッとシアトル行って、3日間フラフラして農場帰って幸せに暮らしてたのに、なんかアビーがサンタバーバラにいるらしいぜ!って話に乗っておっしゃ復讐しよ!ってまた1000km以上先まで行くその動機がわかんねーよ俺は!ってなりました。
そして二人の仲間たち。まず諸悪の根源ジョエルの弟トミー。お前はエリーのこと考えるなら一番自重しないといけないのになんで一人でシアトル行ってんだよ!という怒りポイント。同情が一切できない。挙げ句、また復讐してこいや!とばかりにサンタバーバラにアビーいるらしいぜとか言いに来る、マジでこいつは害でしかない。そしてディーナ。一緒に行くなよ!止めろよ!&ジェシー。いやー、このポジションにアジア系が設定される時代になったんですね!死ぬけど。っていうかお前もついてくるな!
まとめ
とまぁ文句ばっかり書きましたが、このゲーム個人的には非常に面白かったです。前作ほどじゃないけど、今作も感情を揺さぶられてよだれを垂らしながらプレイできました。ただし、レビューが星5個と1個に分かれている通り、めちゃくちゃやる人を選びます。
2020年6月27日現在平均2.9とかなり低いです(笑)んーまぁ仕方ないかな。個人的には星は4つですね。犬死ぬからマイナス1。
海外だとどうなんだろうとおもってUSアマゾン見に行きましたが、まだ日本よりはマシですね。
ただ、トップの批判的レビューに「ゲーム・オブ・スローンズシーズン8より酷かった」って書いてあって笑いました。まぁシーズン8のストーリーは酷かった(笑)。日本もアメリカも、これに金払うならYouTubeでプレイ動画見ろって書かれてるのは時代かなーと思いましたが、これはプレイして感情が揺れるのが面白いのであって、映画じゃないんだからYouTubeで体験できるもんじゃないんですよ。どうせ中古で3,000円ぐらいで売れるんだから買ってやってみりゃいいんですよ。で、まぁストーリーのアラも、ワイワイ突っ込みながらやったらいいんですよ、それが映画やゲームなんだし、このゲームがきっかけてLGBTについて理解が深まる人もいるかもしれないし、いつまでも特殊部隊のマッチョマンが主人公のゲームばっかりじゃ面白くないじゃないですか。いつまでCapt.プライスこすり倒すんだよ。そんなこんなで、6,000円のゲーム1本でこんだけ楽しませてもらってブログも書けるんだからありがたい話です。やる人選びますがゲーム好きならやって損はなし(ただしDL版はやめとけ)。